お問い合わせへのご回答

先ず、最初に申し上げたいことは薪ストーブは魔法の箱ではありません。温暖化防止などにの役にも立たちません。

暖房は原油が高騰しても、石油暖房のランニングコストが一番安いです。薪はタダなどと言う方が散見されますが、良質の薪の確保は、お金で買うか、自分の労力の対価として薪にするしかありません。タダの良質の薪があるのでしたら私にください(笑)

今回、お問い合わせをいいたお客様は新築の二階建てを検討中での、ご質問を要約して、お答えいたします。

Q1  少しの火力・燃料で長時間温めて、家の中で温度差がないようヒートショック対策がしたい。火を消すことなく、もしくはストーブが冷め切らない内に火を入れなおし、低温でケチキュートを3か月くらい連日、使用し続けることは可能でしょうか?
寿命に悪影響はないでしょうか?
そもそものストーブ本体の寿命はどのくらいでしょうか?

A 世の中に、一晩中燃える薪ストーブはありますが、就寝前に6から9kgの薪を入れます。ホームセンターで1束(約10kg前後)税込み1,000円とすると夜中に無駄なお金を使うことになります。当工房の薪ストーブは30分から1時間に1回の薪の投入がムダの少ない運転になるので電力を使って薪の補充装置でもない限り連続運転など現実的ではありません。

寿命に関してはお客様のご使用環境により、差があります。寒冷地の我が家では12年使ってますが、パッキン交換やガラス割れによる交換、汚れによる再塗装以外は問題なく使っております。


Q2 防音仕様の仕事部屋(2階)にいる時間が長くなるので、仕事部屋に通した煙突からの排熱で締め切られたこの個室も温めたい。

例えば、1階に設置して2mの垂直煙突+約1.8m横引き(1階廊下上部通し)+2階の仕事部屋で約3m直立(2階壁高さ込み)+屋根から必要な長さ直立(シングルか二重断熱煙突かは効率の良い方で設置したとします)

御社のサイトに「煙突から高温の排気しない」と記載がありましたが、

このような煙突からの排熱で、2階の仕事部屋(3mx5mx2.7mの広さ)を最低限度の火力で暖めることは可能でしょうか?

点火時の煙の逆流の可能性や木酢液の量が増える、メンテナンスがシーズン中に必要になる、

または煙突が詰まりやすくなるなどデメリットがありますか?

A 薪ストーブの重要な熱源は遠赤外線の輻射熱です。光と同じような特徴があり距離の2条に反比例します。薪ストーブからの距離が二倍になれば暖かさは四分の一、距離が三倍になれば暖かさは九分の一になります。なのでケチキュートの巡航運転では確実に人が暖かいと感じるのは6m程です。ただし、エアコンや石油・ガスファンヒーターと違い、空気の対流を中心に暖めるのではなく、遠赤外線で、壁や床、天井、窓、家具などをおひさまのひだまりのように暖めますので、心地の良い暖房になります。

寒い日に日影と日を浴びる場所では外気温度は同じですが、暖かいのは遠赤外線の効果です。障子やふすまで仕切られただけで隣の部屋は日影になり暖房効果は著しく低下します。薪ストーブで理想の間取りは間仕切りのない住宅です。風呂もトイレも個室もない住宅などありませんので、薪ストーブ1台で全部屋暖房などは、もはや都市伝説です。

煙突トップから煙で完全燃焼とかを判断されるベテラン薪ストーブオーナーがいらっしゃいますが、それはナンセンスです。

普通の薪ストーブでも燃焼効率は点火直後以外は90%を超えていると思います。ケチキュートは触媒付きの薪ストーブと同等の燃焼効率ですが、それはあまり意味はありません。排煙はもう燃えませんので、煙が見えないのは排気温度が高いだけで、私に言わせればもったいないです。

もちろん木酢液が発生するリスクはあります。また、タールの発生も多くなる傾向がありますので煙突は最低1年に1回は必要です。特に横煙突は垂直に比べてスス、タールの発生は感覚的に10倍になります。


Q3  蓄電池付きの太陽光発電の導入も検討していますが、想定外の緊急事態にも暖が取れるように備えておきたい。

A 私は太陽光発電に否定的です。基本的に電力会社に売電しても、ペイできるか出来ないかの微妙なラインで電力会社が買い取ります。そして、その売電の買い取りはのお金は電力会社の企業努力や資産ではなく、太陽光発電を設置できない弱者にも再エネ発電賦課金で使用電力に応じて電気料金から徴収されます。一般家庭で年間1万円以上負担増です。住宅メーカーが提供する蓄電池もペイできるか微妙だと思います。大規模な太陽光パネルの廃棄も問題です。

もちろんオフグリットの太陽光発電は良いでしょう。マリンバッテリーなどで蓄電して、最低限の電力確保するのは大賛成です。

「想定外の緊急事態」とは戦争や大地震や原発事故でしょうか?台風などは直撃しない限り普及は早いと思います。その時に建物が無事ならはきっと薪ストーブは大活躍します。ただし、薪があっての話です。詳しくは次に回答します。


Q4 竹、もみ殻、新聞紙なども燃料に使用できるなら燃料確保が少し容易になるかもしれないという素人考え。

未乾燥竹(冬でも緊急時に即時調達可能なため未乾燥前提)や、そのままの状態のもみ殻はメインの燃料として使用可能でしょうか?

また「新聞紙をちぎって濡らして固めて乾燥させた」紙薪を作ったとしても、メリットはないでしょうか?
使用できたとしても、すぐに燃え尽きてしまう、燃え残りやすく灰が多くなる、煙突が詰まりやすくなる等デメリットの方が多いですか?

A 竹、もみ殻、新聞紙を燃料にはなりますが、労力の対価として熱量が少なく頻繁に燃料を投入する必要があり、効率が悪いです。

未乾燥の竹や、もみ殻も薪ストーブで燃えますが、火室内で水分を蒸発させてから燃えます。その蒸発させるエネルギーをそこで失うので、もったいないです。

薪ストーブは「アリとキリギリス」です。冬に備えて薪を確保する気概というか覚悟が必要です。もちろんお金で解決できますが・・・想定外に緊急事態にも、日頃の蓄えで問題ないと思います。

薪の乾燥は2年と言われますが、それは太ももサイズの広葉樹です。春先に伐採された生木を避けて、秋の終わり頃から伐採された広葉樹なら二の腕サイズなら風通しの良い薪棚では1年で乾燥します。針葉樹なら半年です。薪を2年間も乾燥させる場所を確保するのも大変ですので、細い薪を1年間、乾燥させてで長持ちする薪ストーブが良いでしょう。

Q5 設置に関する質問
床からの外気導入での吸気は可能でしょうか?
リビング角(間取りでは家のほぼ中央)の壁に平行にストーブを置いたとして。

A オプションになりますが可能です。気密住宅でない限り普通は必要ありません。

Q6 炉壁サイズ、または耐火素材にすべき壁のスペースは最低どのくらいのサイズでしょうか?
面する壁二面を耐火素材などで作った場合は、壁からストーブ本体をどのくらい離せばよいでしょうか?

A 火気使用室の内装制限があります。詳しくはこちらを参照してください。

Q7 その壁を蓄熱効果のあるモルタル・コンクリート・レンガなど作った場合、「裏面」は触ったらやけどをするほど熱くなりますか?

A 蓄熱などの効果はほとんどありません。光と同じです。例えば明るい部屋に障子で仕切ると明るさは半減します。薄い鋼板や薄い不燃材で後ろに25mm以上の空気層を設ければ問題はありません。


Q8 また、室内側に木製テーブルや椅子、ソファなどを置くためには、ストーブ本体からどのくらい離せば大丈夫ですか?

短い時間でしたら60cm。常時でしたら火力によりますが、1.5m以上です。

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